






















サイズ:14.5×27.5×9㎝
重さ:2.7㎏
―説明―
当作品は太陽の周囲に出来る光をイメージして制作されました。
上前氏の作品モチーフは時間や場所を超えて人々が「視線」を向け続けてきた「地平線」や「月」、「太陽」など。
1200年以上昔の人も、現代の私達と同じ様に天や月を眺め、宇宙の果てに想いをめぐらせていただろう事に面白みを感じ、コンセプトワードとして「視線」選定されています。
「天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ」
〜歌意〜
大空の海に雲の波が立ち、月の船がきらめく星の林の中に漕ぎ隠れてゆく。
これは柿本人麻呂が万葉集の中で詠んだ和歌ですが、上前さんはこの歌から、
「遥か昔に生きた歌人も、現代の私たちと同じように、天を眺め、月を眺め、宇宙の果てに思いを巡らせているのを感じました。時間と場所を超えて、同じものを眺め、同じ想いを抱き、繋がっている事にも面白みを感じます」
と話されます。
その意を作中から汲むならば、アウトラインは月(船)、ガラスに閉じ込められた景色は天(空、星、雲)を表しているかの様です。
まさに、雲がかかり無数の星が舞う大きな夜空の中を行く船が見事に表現されており、その美しさには胸を打つものがあります。
―技法―
キルンキャスト(鋳造)により制作される作品は、石膏から取り出した後にウォーターサンダーや平盤で荒成形した後、作品の部分部分にグルーチップ(膠)加工を行います。
また、予め石膏に線刻した部分に対し、パールラスターやプラチナ、金彩等を施し、再度電気炉で焼き付けを行います。
2度目の窯出しの後、平面部は手磨き、局面部はウォーターサンダーなどを使い、仕上げとなる加工研磨を終えて完成となります。
また、大きな作品は機械が使えない為、手作業による研磨となるそうです。
一般的な吹きガラスと比べとても工程が多く、日数も掛かる技法なのが分かりますが、しかし実際はまだ記していない細かく難解な作業も含まれます。
―素材―
当作品の素材に廃ブラウン管は使用されていません。
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「ガラスを鋳造した際に産まれる複雑な内部の表情を捉え、その光の反射や屈折による美しいガラスの表情を最大限に活かした立体表現を行う事で、凛とした空気感を演出したいと考えています。
鋳造によって、型に流れ込んだ廃ガラスカレットは、文字通り、廃棄物から作品へと再生し、その過程で産まれ出たガラスの表情は、作家の意思を通り越し、鑑賞者へ様々な印象を想起させます。
一度は廃棄された素材が、自分の手を通して造形作品となり、そして、建築や、開かれた空間の中で活き、人々の生活の一部となってくれるなら、それはこの上ない、幸せな事なのではないかと考える様になりました。
素材を見出し、素材の価値を再び作品として構築していく作業に、この上ない制作の喜びと充実感を感じています。 (文:上前功夫)」
上前功夫 Instagram⇩
https://www.instagram.com/uemae.isao/
―上前功夫 略歴―
1985年 兵庫県生まれ
2008年 大阪芸術大学工芸学科 卒業、大阪市立クラフトパーク 非常勤指導員
2010年 大阪芸術大学工芸学科 非常勤副手
2013年 大阪芸術大学工芸学科 非常勤嘱託
2016年 金沢卯辰山工芸工房 専門員
―建築に関する仕事―
フォーシーズンホテル大手町(東京)
プラウドタワー仙台勾当台通
横浜ベイコート倶楽部 ホテル & スパリゾート
フォションホテル京都
プラウド朝霞台(埼玉)
リーフィアレジデンス上原(東京)
JP リゾート(かんぽの宿)伊豆高原(静岡)